あなたも谷津干潟のボランティアになって私たちと一緒に谷津干潟公園の豊かな自然と触れ合いませんか。私たち自然情報チームのメンバーは20人あまり、四季を通して
谷津干潟公園の樹木や野草、昆虫
などを観察し楽しんでいます。センターに飾られたボードでは、毎月、時期に適した新しいテーマで谷津の自然を展示しています。ボードは、センター入り口から入って右折するとすぐ右手にあります。実際のボードには植物の名前のほか特徴やちょっとしたエピソードが添えられています。ぜひご覧にいらしてください。
特集:樹木のみのり
樹木の実の成熟過程もたどりたいと思い、撮影期間は9月〜12月までの長期にわたりました。
テーマ:「こんなに色づいたよ!」
観察日:2015年9月5日〜12月1日 場所:谷津干潟公園・谷津公園
月名を二つ記した写真は、マウスを写真の上に置くと、更に熟した実をご覧いただけます。
※果実名をクリックすると、該当の果実(実)の紹介にジャンプします。
刮ハ
豆果
堅果
毬果
核果
液果
集合果
偽果
★まず
刮ハ
≪さくか≫
(雌しべの中が放射状に複数の仕切りで分けられ、果実が成熟した時、それぞれの部屋に種が入っているもの)
をごらんいただきましょう
 
トベラ(9月・12月)
皮は黄色く熟し、3つに裂けて
粘液質の赤い種を露出する。
スイフヨウ(9月・12月)
熟して乾くと5つに裂ける。長
い毛のついた種を風に散らす。
 
サザンカ(10月・12月)
翌年秋に熟し3つに裂けて種を出す。秋に
は花と前年の実を同時に観察できる。
タカサゴユリ(9月・12月)
よく種を稔らせ、風散布する。裂けると 3室
あり、各部屋2列の種が多数つまっている。
 
ドウダンツツジ(9月・12月))
実は上向きにつき、熟すと5つに裂けて、
茶褐色になり細長い種が弾け飛ぶ。
ナンキンハゼ(9月・12月)
茶褐色に熟すと、皮は3-4個に裂けて落ち、
3個の白い種だけが裸出して枝に長く残る。
 
トチノキ(9月)
実は熟すと3つに裂けて、光沢のある濃褐色の
種を1-2個出す。渋抜きしてトチ餅に利用される。
ハクウンボク(9月)
実は星状毛が密生する。熟すと皮は縦
に裂け褐色の1個の種と共に脱落する。
 
ニシキギ(9月・10月)
熟すと皮が裂けてめくれ、ワイン色のベ
レー帽になり,赤い種を1-2個ぶらさげる。
ハコネウツギ(9月・12月)
実は円柱形。冬には先が2つに割れ、多数の種
が出る。種の縁には翼があり、風に運ばれる。
 
モッコク(9月・12月)
皮はかたく肉厚で、不規則に割れて、赤い種を
3-4個出す。裂けると種は白い糸でぶら下がる。
オオモクゲンジ(10月・12月)
実は3室の袋状になっいる。緑から薄紅色、更に熟すと
白茶色に変わる。各室に2個の黒い球形の種が入る。
 
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★次は
豆果
≪とうか≫
(いわゆる豆の莢の形をしていて、成熟後、乾燥すると皮(さや)が左右に割れ、種を落とすもの)
です
 
ネムノキ(9月・10月)
大きな莢のわりに種は小さく薄い。莢が褐色に熟して
も樹上に遅くまで残る。乾燥して軽くなると風に飛ぶ。
ハナズオウ(9月・10月)
莢は秋に赤くなり色落ちしたあと茶色になる。
熟すと2片に裂ける。2〜8個の種が入っている。
 
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★続いて
堅果
≪けんか≫
(外側が堅い殻になり、乾燥し熟しても殻が開くことはない。いわゆるドングリ。ドングリの台のような部分を殻斗(かくと)という)
をご紹介します
 
コナラ(9月・10月)
実は年内に熟す。基部に小さなウロコ状の殻
斗(帽子)をかぶる。落下すると直ちに発根する。
シラカシ(9月・11月)
実は開花の年の10月に成熟し、
下部は横縞の殻斗に包まれる。
 
クリ(9月)
イガは殻斗で、中に
3個の実(栗)がある。
マテバシイ(9月・10月)
殻斗はウロコ状。開花した翌年の秋に成熟する。
実が比較的大きく縄文時代の重要な食料であった。
 
スダジイ(9月・11月)
殻斗がドングリ全体を覆うものもあり、一年
半後に熟すと3つに裂ける。 ドングリは小粒
ながら、渋抜きせずに炒って食べられる。
 
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★次は
毬果
≪きゅうか≫
(俗にいう松かさ。多数の木質の鱗片 (りんぺん) が重なって球形や円錐形をなし、種は各鱗片の内側につくもの)
です
 
クロマツ(9月)
毬果は1年半後に熟す。1つの鱗片に
翼のある2つの種が乗っている。鱗片は
晴雨により開閉を繰り返し種を散らす。
コノテガシワ(9月・12月)
淡灰青色の毬果の先は角状に
とがってそり返る。秋に、褐色
に熟し実が割れ、種を落とす。
 
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★続いて
核果
≪かくか≫
(種は中心に1個あり、種の外側に堅い殻(核という)を持つ。殻の外側は果肉でつつまれているもの)
です
 
エノキ(9月・11月)
9月実は黄色から橙色に変化する。果肉は甘みが
あり、干し柿に似た味がするが、水分が少ない。
クロガネモチ(9月・11月)
11〜12月に赤色に熟す。中には三日月形の核が
4〜6個入っている。核の中に1個の種がある。
 
サンシュユ(9月)
果肉はグミのように赤く熟し食べられる。核を取り去っ
た果肉を乾燥したり、果実酒を造って薬に利用される。
サンゴジュ(9月・10月)
実の房には黒い熟果(ジューシーで甘酸っぱ
い)と、赤い未熟果(硬くて渋い)が入り混じる。
 
センダン(9月・12月)
房状に実を付け果肉は「あかぎれ・しも
やけ」の治療に利用。6稜の星型の核が
1個あり種を6つ含む。核は数珠になる。
トウネズミモチ(11月・12月)
黒色の実がネズミの糞に似ていること
が名の由来。乾燥させた実を炒ったり
果実酒にして漢方で利用される。
 
ハナミズキ(9月・10月)
核果が球状にまとまってつく。深い紅色に熟す。
落葉後も遅くまで枝に残り、晩秋の空に映える。
ユズリハ(9月・10月)
雌株の実は藍黒色(初めは暗青色)に熟し、
表面に粉を吹く。実の黒と葉柄の赤が対照的。
 
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★第6番目として
液果
≪えきか≫
(実の皮が柔らかく、成熟した時に肉厚で汁気の多い果肉に包まれるもの)
をご覧ください
 
カクレミノ(9月・10月)
実は冬に黒紫色に熟す。中には7mm
ほどの大きな種が2〜5個はいっている。
クスノキ(10月・11月)
皮が多肉質(液果)で,樟脳の香
りがする。実は果軸ごと落ちる。
 
カキノキ(9月)
渋柿の柿渋は防腐剤やノロウィルスの消毒剤として利用。種は最大8個。花の子房の肥大した部分が可食部。
キブシ(9月)
実はかたく乾いた液果。7〜10月に黄褐色に熟す。小
さな種が多数入っている。昔、お歯黒の原料とされた。
 
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★七番目は、
集合果
≪しゅうごうか≫
(一つの花に多数の雌しべがあり、それぞれの子房が実となって一つにまとまったもの)
をごらんいただきます
 
シデコブシ(9月)
花の中心部にある多数の雌しべのうち、受精し
たものだけが袋果(内部に種を含んだ袋状の実)
となり膨らむ結果、いびつな形の集合果になる。
タイサンボク(9月)
実は袋果が集まった集合果。熟
すと袋果の裂け目から赤い種が
現れ、糸を引いてぶら下がる。
 
アメリカスズカケノキ(9月・12月)
多数の痩果(皮と種が密着して分かれない実)
が集まって球状になっている。個々の痩果は、褐
色の長毛を傘のように畳んでいる。風で飛ぶ。
モミジバフウ(10月・11月)
多数の刮ハが球状に密集した
集合果。秋に刮ハが裂け、翼
を持つ細長い種が飛び立つ。
 
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★最後は
偽果
≪ぎか≫
(通常は花の子房が肥って実になるが、子房の代わりに花床や萼が肥大して実になるもの)
です
 
アキグミ(9月・12月)
実は萼が肥大した偽果。全体に赤
褐色や白の星状毛がある。実の中
に種は1個。グミ酒、ジャムにされる。
ナワシログミ(11月・12月)
実は4〜5月、苗代をつ
くる時期に赤く熟す。
実は生で食べられる。
 
ヘクソカズラ(9月・11月)
実の外側の皮は萼に相当し、中に実
が2個入っている。種も2個できる。
実の汁をしもやけやあかぎれに塗る。
ハマナス(9月・10月)
花床が伸びて赤く熟し、種を包み込んでいる。
甘酸っぱい梨に似た味がする。実は生食した
り、ジャムにされる。ビタミンCを豊富に含む。
 
シャリンバイ(9月・12月)
実は花床が肥大したもので、頂部に
萼、雄しべ痕が残る。黒紫色に熟す。
中に暗褐色の大きな種が1〜2個ある。
トキワサンザシ(9月・10月)
花床の肥大した実は鮮紅色に熟し5個の種
が入っている。完熟するとリンゴのような味
がするが未熟なものはまずく鳥も好まない。
 
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参考図書(参考にさせていただきました)
多田多恵子: 身近な草木の実とタネハンドブック
鈴木 庸夫・安延 尚文・ 高橋 冬: 草木の種子と果実―形態や大きさが一目でわかる植物の種子と果実632種
岩瀬徹・大野啓一: 写真でみる植物用語
過去分(バックナンバー)は→
こちら